「怪物」@シアタス調布


台風大接近の大雨の中、朝イチで観にいったのは、是枝監督作品の「怪物」
先日のカンヌ国際映画祭で「脚本賞」と「クィア・バルム賞」を受賞した
作品でもある。

「怪物」@シアタス調布_d0352022_17423313.jpg
後々まで印象に残る巧みな台詞まわしで独特の世界観を演出する坂元裕二氏が
「たった一人の孤独な人のために書き下ろした」というオリジナル脚本を
是枝監督が撮る。しかも音楽は先日惜しまれつつ亡くなった坂本龍一氏という
3つの卓越した才能が融合した作品とあっては観ない訳にはいかない。



長野にある静かな街の小学校で事件は起こる。
息子が学校でいじめを受けていると学校に乗り込む母親。
形ばかりに頭を下げるばかりで誠意を見せない学校。
無気力で無表情の校長。
一人親の家庭に偏見を抱くやる気のなさそうな教師。。。


母親、教師、子どもたち、、、、
3つのそれぞれに異なる視点からストーリーはバラバラに語られ、展開していく。
観ている側はジグソーパズルのピースを埋め込むように、
「えっ?」とか「やっぱり!」とか「そうだったのか!」と思いながら
ストーリーに沿う形で伏線を回収していく。


安藤サクラはさすがの存在感だったが、瑛太がうまい。
そして圧巻は田中裕子。あの、遠くを見るような冷たい視線は
怖ささえ感じさせる。
そして坂本龍一氏が最後に遺した音楽。。。
あの音楽なくしてこの作品はここまで昇華できなかっただろうとさえ思えるほど
心に響いた。。。



物の見方一つで、人は何が善で何が悪かを判断しがちだ。
怪しいと思った相手が実は善人だったり、良さそうな人が怪しい一面を見せたり。
この映画は私たちが物事の一面でしか本質を見ていないことに気づかせてくれる。
もしかしたら怪物は私たちの心の中にも潜んでいるのかもしれない。


「怪物だーれだ!」という不気味なフレーズは観た人すべての心に強く残り続ける。



ちなみに台風大接近の朝イチ回なのに、館内は8割の入り。
たいした作品だ。



あまり前情報を入れずに真っ新な心で観るのがオススメ。
☆4を進呈。





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by forestkoro1015 | 2023-06-02 18:31 | 映画作品・TV作品 | Trackback | Comments(0)

美味しかったもの、楽しかったこと、旅の思い出などを徒然にご紹介します。


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