久しぶりの千葉・佐原はそぼ降る雨。
町全体の風景に江戸情緒を今も色濃く残す佐原は、利根川やその支流である
小野川の水運によって栄えた場所として知られ、毎年7月に開催される大祭夏祭りには
豪華絢爛な山車が引き回されることでも有名だ。
伊能忠敬が佐原屈指の商家の婿養子として30年以上暮らしたという旧宅をはじめ、
町のそこかしこに、明治時代や大正時代に建てられた土蔵造りの商家や千本格子の町家が残され、
特に小野川沿いのエリアは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
「佐原三菱館」は、大正3年(1914年)に建てられた旧三菱銀行佐原支店本館で、
イギリスから輸入したレンガを使用し、2階までが吹き抜けという西洋風のつくりが特徴。
現在は観光案内所として活用されている。
散策がてらに途中にあった造り酒屋も訪問してみることにした。
馬場本店酒造と東薫酒造が有名なようだが、今回は後者を見学。
開始時間に間に合えば、実際に蔵見学ツアーが体験できる。
当然、見学ツアーの前も後も「利き酒三昧」(爆)。
蔵の中に一歩足を踏み入れると、目の前に大きな仕込み樽。
たぶん容量なのだろう。「6,681リットル、一升瓶3,710本、7,420,000円」という紙が
樽に貼られている。
そのまま二階に上がると、このような情景が目の前に広がる。
つまり、床下が仕込み樽になっているという訳だ。
文政8年(1825年)の江戸時代創業の蔵だというのに、なかなか近代的な造りをしている。
何でも此方の杜氏は全国酒造杜氏連合会会長でもある及川杜氏という有名な方で、
氏が手がける「東薫 大吟醸 叶」は、全国新酒鑑評会で11回も金賞を受賞したという
素晴らしいお酒らしい。
1本10,200円(!)と、お値段も素晴らしい。
が、此方では300円で「利き酒」できるというのだから有難い。
ここでも酒飲みの手腕を発揮してわずか100円(量はちょっと少なかったけれど・笑)で
利き酒に成功(喜)。
口に含むと「ひとひらの雪のようなすずやかな余韻が五感にふわっと染み込んでくる」
ような独特の品格を感じさせてくれる。
「お見事っ!!」と思うが、300ml入りでも1,500円近い金額なので、
残念だけれど、すっきりタイプで割と気に入った「東薫 吟醸 二人静」
(720mlで1,430円)を購入することにした。
すっかり良い気分で川沿いに戻ってくると、「ジャージャー橋」から水が流れ出ている。
これは伊能忠敬旧宅前にある樋橋の別名で、農業用水を水田に送水するために造られたものを
復元したものだという。
水があふれると、左右から滝のように流れ落ちるこの橋は「日本の音風景百選」にも
選ばれている。
せっかくなので関東有数の古社(神武天皇の時代に創建されたと伝えられている)として知られる
「香取神宮」にも立ち寄った。
此方は12万3千平方メートルの社地をもち、本殿までの参道をテクテクと歩く訳だが、
あたりの空気はまるで「サンクチュアリ」(ってそのままの表現で失礼!)のような
荘厳な雰囲気に包まれていた。