この世界の片隅に   

体調もようやく復活してきたので、巷で話題の「この世界の片隅に」を鑑賞してきました。

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昭和20年3月の呉空襲、8月6日午前8時15分、アメリカ軍による広島への原爆投下、
8月15日の終戦に至るまでの軍港の街・呉における主人公・すずの嫁ぎ先の家族との日々の暮らしぶりに
スポットを当てながら、淡々と物語は展開していきます。
突然の縁談に戸惑いながらも呉での新しい生活をスタートする18歳のすずは、夫の周作や両親、
義姉の径子、姪の晴海と共に、食事を作り、洗濯をし、畑を耕し、ご近所と付き合い、
慣れないながらも少しずつ呉での暮らしに慣れていきます。
平々凡々とした穏やかな日常に少しずつ陰をさしていく戦争の気配。。。
配給物資が少しずつ減り、食材がどんどん減っていく中でも、すずは工夫を凝らして食事を作り、
着物からもんぺを作り、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていきます。

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激しい戦闘シーンがある訳でもないし、空襲で逃げまどう群衆のシーンがある訳でもありません。
が、「戦争の悲惨さ」「原爆の非道さ」など、観る側の心を射抜くような衝撃的なインパクトを与えるのは、
すずという主人公と彼女を取り巻く市井の人々の怒りや苦しみ、悲しみを表しているからに他なりません。
小説で喩えるなら、まさに「行間を読む」作品といっても良いでしょう。
もちろん、感想やとらえ方はそれぞれだとは思うのですが。


故郷・広島に帰るという選択肢もあったのに、呉の地で再出発を誓うすず。。。
当時の日本にはきっと何百万、何千万のすずがいたのだと思います。
「君の名は」も面白かったですが、「この世界の片隅に」の方がメッセージ性が高い作品だと思います。
というか、世界で唯一、原爆を落とされた国だからこそ、作ることができた作品かもしれません。


さらにすごいのが、この作品が「クラウドファンディング」の成功によって、制作にこぎつけたと
いうことです。当初の目標金額は2千万だったそうですが、わずか3ヶ月で3,374人、3,900万余りの
賛同を得て出資金を集めたといいます。
今、話題の築地市場にスポットを当てた「築地ワンダーランド」もこのクラウドファンディングを
利用して制作に至った作品ですが、価値のある素晴らしい作品を世の中に送り出し、一人でも
多くの人に観てもらいたいと考える人たちの想いと団結力ってすごいですよね。


アフレコののんさんもすずにピッタリでとても良かったです。
名前も変えさせられ、テレビではあまり取り上げてもらえない(事務所の圧力という噂も?)
ようですが、個人的には、また一つ、階段を上ったなーという印象。。。


ジワジワ〜ッ&ウルウル〜っとくるシーンがいくつも散りばめられていましたが、
すずの力強く生きる姿に、観る側も生きる勇気を必ず分けてもらうことができる作品です。






by forestkoro1015 | 2016-12-06 01:10 | 映画作品 | Trackback | Comments(0)

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